平成16年度税制改正
今回の税制改正は老年者などの弱者に増税が集中しているように思われます。
また、法人税、土地税制など納税者にとって朗報であっても、一方でがっかり、といった面もあります。
何が「にっこり」で「がっかり」なのかその具体的内容を見てみましょう。
欠損金の繰越期間の延長
法人の青色欠損金、災害欠損金について現行の5年から7年に延長。
それに伴い、帳簿の保存期間も7年間に延長。
(H13.4.1以後開始事業年度より適用)
損失額の繰越期間が2年延長されました。
帳面の保存も消費税法で求められる保存期間7年間と一緒になります。
法人税に係る更正の期間制限の延長
欠損金の更正の期間制限を現行の5年から7年に延長。
脱税以外の場合の過少申告に係る更正の期間制限を現行の3年から5年に延長する。
税務調査の対象も現行の3年から5年に遡ることも考えられます。
中小ベンチャー企業の欠損金繰戻
設立後5年以内等の中小企業の欠損金については1年に限り繰戻還付を認める措置を2年間延長。
中小企業で前期は税金を納めたけど今年は赤字になった、と言う場合は適用できることがあります。
連結納税制度の付課税廃止
現行の2%の連結付課税の上乗せが平成16年3月31日開始事業年度で廃止となる。
中小同族株に対する相続税の軽減
軽減対象株式価額上限の引き上げ
現行3億円 改正10億円 ×10%=相続税額の軽減
株価の高い中小企業の事業承継時に有利です・
相続財産の非上場株式を発行会社へ譲渡
@平成16年4月1日以後相続等により取得し申告期限の翌3年以内に譲渡
A みなし配当課税を行わない
B@の金額について株式に係る譲渡所得として課税の対象となる
配当所得となると所得税の最高税率50%との税率で所得税が課されるが、株式等の譲渡所得となると株式等の譲渡に係る税率20%(平成19年までは10%)の税率で税金が課されることになり、高額所得者にとっては有利となる。
上場株式等以外の株式等の譲渡益の税率
平成16年1月1日以後に行う上場株式等以外の株式等に係る譲渡益に対する税率が現行の26%から20%に引き下げられた。
土地譲渡等に対する追加課税の停止延長
いわゆる土地重課の停止を5年延長
同族会社の留保金課税
創業10年以内の中小企業等の留保金課税の不適用を2年延長
自己資本比率50%以下の中小企業を対象とした停止措置は17年度末まで
中小企業投資促進税制の延長
中小企業の取得する機械装置、器具備品について特別償却30%又は特別控除7%の適用を認める措置を2年延長(17年度末まで)。